1日で辞めても賃金を支払う義務がある!
〜(株)アビリティ・キューCSR室より

「求人広告に『親切に指導します』と書いてあった。入社初日の朝、分厚いマニュアルを渡されて、読むように言われた。2時間位経ってから、何の指導もないまま業務に就かされたが、『そんなこともできないのか!』『向いてないんじゃないか?!』と罵倒された。その日の業務が終わり、退職したいと伝えたら、『給与を払わない』と言っていた。本当に貰えないのか?」

「入社した時に、退職する場合は1カ月前に申し出ることと、申し出なかった場合には時給が700円になるという内容の誓約書にサインした。長く働くつもりだったが、親が急に病気で入院することになり、退職を余儀なくされた。会社に退職の意志を伝えたところ、『時給700円にする』と言われた。誓約書にサインした以上、仕方ないのか?」

1日でも1時間でも労働の対価として賃金は発生

上記のように、入社後間もなく、何らかの理由で退職あるいは解雇になって、賃金の全額あるいは一部が支給されないという相談や苦情は後を絶ちません。
従業員の採用には、時間とお金、そして労力がかかります。せっかく採用できた従業員に、1日で、あるいは数日で辞められたら、『金なんて払えるか!』と感情的になる気持ちは理解できますが、雇っている以上、1日でも、1時間でも、労働(時間)の対価として、賃金は支払わなければなりません。例え、試用期間や見習い期
間でも、賃金は発生します。実務を全くしないで、座学研修のみ受けて退職した場合も同様です。

減給する場合は相当の理由が必要(最大で総額の10%)

また、いたずらに減給することもできません。労働者に無断欠勤が続くなど帰責すべき相当の事由があった場合には減給することができますが、その場合でも、最大で総額の10%までと定められています。したがって、上記のように、一律で30%カット(時給1000円を700円に減給)すれば、違法となります。また、仮に就業規則などに退職の申し出を1カ月前までに定めていたとしても、労働者には退職の自由があるので、減給そのものが難しいでしょう。

違法な内容の誓約書は無効

仮に、誓約書などで「1ヶ月前までに退職を申し出なかった場合には、時給を700円にすることに同意します」という書類にサインさせたとしても、違法な内容の契約自体が無効になりますから、違法行為は免れません。従業員を辞めさせないために、「給与を支払わない」「賃金を減給する」と、言葉で言うだけだとしても、強制労働という別な違法行為の可能性が出てきます。

採用方法や職場環境の改善に目を向けよう

1日や数日で辞めてしまう人はいます。もちろん、その人に問題があるのかもしれません。しかし、求人広告が実態とかけ離れている、面接が適性で判断していない、職場にいじめやセクハラがあるなど、採用方法や職場環境に、何らかの問題があったのかもしれません。辞めてしまう人を責めるよりも、募集方法や面接方法、職場環境などの改善に目を向け、よりよい人材を確保するように努力することの方が重要です。