簡単に解雇できないことを念頭に置き、慎重に採用しよう
〜(株)アビリティ・キューCSR室より

「求人広告に『社会保険完備』と書いてあった。入社して直ぐに加入できると思っていたら、『加入は3カ月経ってから』と言われた。3カ月間我慢して働き、もう一度、社会保険のことを確認すると、今度は『国民年金に入ってもらっている』と言っていた。先輩に聞いても、『誰も社会保険には入っていない』と言っていた。広告に書いてあることや入社した時の説明と異なっていたので、そのことについて確認を求めたらクビにされた」

我慢して働き続ける労働者

広告と事実が異なっていても働く意欲を持ち続けていた労働者が、結局は、それが原因で理不尽にも解雇されて、上記のような苦情になるケースは珍しくありません。昨今の雇用情勢を反映してか、広告内容や雇用契約と異なる条件でも、採用され、雇用契約が続いている限りは、我慢して働く人が増えているようです。

客観的・合理的な理由がなければ解雇は無効

会社には採用権や解雇権があります。しかし、労働者が安心して働けるように、労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする(16条)」と、解雇権の濫用を禁止しており、一度採用した労働者は、簡単に解雇できないようになっています。

不当解雇で会社が倒産!?

苦情例のように、自分の労働条件を確認しただけで解雇すれば、『無効』と言わざるを得ません。もし裁判で不当解雇と判断されれば、労働者の地位を確保した上に、解雇扱いした期間分の給与を補償することになります。精神的な苦痛を与えた分の慰謝料は、さらに上乗せです。そして、金銭的な損失だけでなく、口コミやマスコミ、インターネットなどを通じて、会社の信用は失い、社会的な制裁も受けなければなりません。最悪の場合は、企業の存続すら危ぶまれます。

解雇の前に労働基準監督署

トラブルを避けるためにはまず、就業規則で解雇の事由(客観的、合理的な理由)を明確にし、採用担当者含め全従業員に周知させることが重要です。「気に入らなければ辞めさせればいい」という考えは、捨ててください。「簡単に解雇できない」という認識を持てば、選考・採用が慎重になり、かえって適正な人材を確保することができるでしょう。正当な理由があって解雇する場合でも、解雇予告や解雇予告手当といった手続きが必要となります。従業員が刑法に違反したような場合は、即時解雇も可能性ですが、いずれにせよ従業員を解雇する場合には、労働基準監督署に相談してから決めましょう。