本年6月、4年ぶりにサッカーW杯が催されたのは記憶に新しいところ。眠い目をこすって会社に行った方々も多かったのではないでしょうか。
 会社からすれば、きちんと出社してまともに働いてくれれば文句はありませんが、遅刻はするは居眠りするはじゃあ、給料泥棒と言われても仕方がないですね。
 ただ、これはW杯という一過性の国民的行事でしたから、ある意味許容範囲だったでしょう。しかし、遅刻や居眠りが度重なった場合、これはどう解釈すればいいのでしょうか。

 労働契約の観点からみた場合、こうしたケースは「労働者の契約不履行」に当たると解釈されます。もちろんそのためには労働契約書か、きちんと周知された合理的な就業規則に「遅刻や居眠りはだめよ」と記載しておく必要があります。
 通達では、「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」や「出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合」には労働者に責任があって解雇となりうる、と例示されています。

 このような労働者側に契約違反の責任がある解雇を「普通解雇」と言います。

 労働者に責任がある場合とは主に、(1)業務命令違反、(2)心身の故障、(3)能力不足、業務能率、勤務成績不良、(4)協調性欠如、職場風紀違反、などがあげられます。
 業務命令違反や心身の故障などは労働者側にもその自覚はあるでしょう。しかし例えば能力不足や協調性欠如などが理由の解雇の場合はどうでしょうか。どちらも他人と比較して決められる類のものですね。
 そうなると社員の中には能力や協調性が低い者が必ず一定割合存在する、ということになります。このような場合に解雇理由として認められるためには、誰が見てもうなずけるような事実が必要となります。またそれを改善するための努力を行ったかどうか、も問われることになります。

 事実上、能力や協調性を理由とした解雇は難しい、と言えるのです。

いのしし社会保険労務士事務所

所長 中村雅和(社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー)

中小企業の労務顧問を中心に、就業規則の作成、労働相談、助成金の申請代行などが主な業務。行政や大学での講演、業界紙などでの執筆も積極的におこなっている。所長へのお問い合わせは下記までどうぞ!

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